D.C.II 〜ダ・カーポII〜(キャラクター別感想)

オススメ度:★★★★☆ / キャラ:★★★★☆ / シナリオ:★★★☆☆



メモ書きを読める程度に復元しつつ、ところどころ加筆を加えたものです。
一応、キャラクター別の感想をプレイした順番に書いていますが、
どちらかと言うと、その場、その場で思ったことをそのまま書いた、という感じになるかと思います。


『杏』

最初は、システム的なところに目がいきました。
キャラが後ろ向いたり、近づいたり離れたり。
桜の花びらが舞ったり。
相変わらず凝ってるなぁと思いました。
毎度使いづらいシステム機能と合わせて流石『circus』という感じです。

ロボットの美夏と記憶力の良すぎる杏の組み合わせが良いですね。
二人が気が合うのがとてもよく分かります。
杏が人形劇の台本を書くときに「どういう展開にしても既存の作品と似ちゃう気がして」と悩み、
「お話っていうのはね、書き始めることは誰にでもできるの。
物語を終わらせることができなければ、何も買いてないのと一緒よ」と主人公に力説していましたが、
なにやらシナリオライターの実感がこもっていそうで、意味もなく手に汗握りました。
他にも、「借り物のアイディア、借り物の言葉。すべてが借り物……」など、
一連の杏のセリフが、『1』を引き継いだ『2』の新規スタッフたちが、
自分たちのことを皮肉っているようで、ちょっと痛々しかったです。

キャラクター設定の交わり方を見ると、
前作(D.C.ダ・カーポ)よりも練りこまれていて面白い要素もたくさんあったように思うのですが、
いかんせん、オチが弱かったです。
なんにも明らかになっていない気がします…。

短い間隔のスタッフロール2連打もマズいです。


『美夏』

本作で一番のお気に入りキャラクターです。

美夏に関しては、色々と挑戦して欲しかったところがありました。
ななかの能力でロボットの心は読めるのか、とか。
美夏がバナナ嫌いという設定も、馬鹿っぽいですが掘り下げれば十分使えたネタだろうし。

美夏がロボットであることが分かったときの
周囲の人間の豹変ぶりは見るにたえないものがありました。
その他大勢の過剰な悪意にはうんざりです。
ロボットがダッチワイフ的な役割を担うことがある、
というゲーム世界の現状を踏まえてもちょっと苦しい流れでしたね。
本作に限ったことではありませんが、無理やり弱者に貶めて、
後から持ち上げて「めでたし、めでたし」の紋切り型にはうんざりします。

でも、最後の仰げば尊しには意表を突かれました。
学校を退学処分になった美夏が体育館に入ると、全校生徒揃って、仰げば尊しの大合唱。

(在校生が歌ってどうすんねん!)

などとツッコミを入れたい気持ちを、デリカシーの一念で押え込んで、
おとなしく合唱を聞いていると、不思議なもので、ここに至るまでの不自然な展開もどうでも良くなってきました。
過程はどうあれ、ハッピーエンドには救いがあるから憎めません。


『ななか』

全体の感想のほうに、だいたい書いてしまいましたが、
能力について知った上で読むのもなかなか乙なものです。
おかげで、同じ映画を何度も見たり、小説を読んだりする人の気持ちが、
なんとなく理解できたような気がします。

話は変わりますが、ななか攻略辺りから、
既読スキップがないことにストレスを感じ始めました。
あらすじモードは、僕のようにレビューを書く人間が、
後からちょいと見直すときに便利なだけで、普通に遊ぶには不親切なシステムだと感じました。

あと、地味だけど、桜が枯れて魔法がなくなった後に、
ななかシナリオにも関わらず杏の記憶力についてのフォローを入れる描写があり驚きました。
こういう気配りは『2』ならではですね。

オチは、ある意味意外な展開でした。
僕は、前日の練習のときに小恋と渉2人が復帰すると思っていたので、
当日にぶっつけ本番で合流するとは…、なんとも……。
確かに最高に良いシーンで、僕も心の中で望んでいたオチだったのですが、
バンドってそんなに甘くはないだろうとも思ったり。
音が合わずに落選して、ラジオ放送されなかったら悲惨なことになるんだけどなぁ…。
病院で楽しみにしてくれてる娘がいるのに。


『小恋』

主人公が失恋って、ありそうでないシチュエーションだったので楽しめました。
ただ、前半は、小恋が一般庶民の代表のようなキャラクターなので、
いわゆる「超設定」な面白味がなく、そこが僕には物足りなく思えました。
ななかは可愛い。ななかと比べて私は…、と小恋が自分を卑下する流れは悪くなかったのですが、
内面的な要素にも言及してくれていると、なお良かったかと思います。
プレイヤーからすれば、どっちも顔は可愛いですからね。美少女ゲームだし。


『由夢』

他のキャラクターを攻略中のときは、影の薄かった朝倉姉妹ですが、
個別のシナリオに入ると意外に頑張りました。
「ジャージからパジャマ」の分かり易すぎるギャップは、ベタですが良かったです。
どうせなら、最初にジャージを出して、
そこから制服に変わる落差も味わってみたかったかもしれませんが、まあ、それは善しとしましょう。
ケーキの食べ歩きから帰ってきて、文章が数行も進まないうちに「お腹すいた〜」などという、
意図的なのか天然なのかわからないネタにも笑いました。

流石に5人目攻略となるとマンネリになってくるのですが、主人公と由夢との関係を考えると、
そこがまた妙にハマっていたりして、ジャージもそうだけど、
「(妹として)可愛いなぁ」と思える作りになっていたように思います。

でも、オチは微妙。
終わってしばらくは、「え゛ー。あれで終わりかい」と一人でブーブー言っていました。
とはいえ、兄さんがいなくなって、色々と鬱な由夢の様子を延々見せるとテンポが悪いのも事実です。
終わり方はキレイだったんだけどなぁ。

あと、もの凄く気になりっぱなしだったのが、主人公の存在が希薄になったときに、
由夢は周りから一人で話しているように見えたかもしれないのですが、そこはノータッチで良かったのでしょうか。
まあ、それをやると某作品の男女逆バージョンになってしまうわけですが…。

存在が消えるというよりは、個として認識されなくなるという解釈で良かったのかな?


『音姫』

人形劇の練習と小恋の風邪が、分岐の伏線になっているに違いない、と思い続けて十ウン時間。
ついに予想通りの分岐の仕方で、音姫ルートに進むことができました。
が、正直言って、主人公が音姫を呼ぶときの「音姉」という、
こそばゆい言葉の響きだけが僕の心のよりどころでした。

音姉の奇人変人ぶりには降参です。参りました。
音姉がいきなり裸で風呂に侵入してきたときには、
喜ぶのも忘れて「この人頭おかしい」を連発していました。
はぁ…、お風呂は、もちろん2人が付き合う前のイベントです。

や、ヌキゲーなら良いんですがね。
後ろに回り込んだ姉が、こう…、サワサワとナニをナニする感じの流れで……。
「ちょっ、音姉、何して――」みたいな。


『さくら』

印象的なのは、純一さんがさくらの髪を切るシーンです。
髪を切る意味はこれっぽっちもないのに、その髪を切るのが良いのだと、
臆面もなく言ってしまえるくらいに美しい絵面でした。

これで話がちゃんと落ちていれば、言うことなかったのになぁ…。
どのシナリオもそうだけど、常に最後のツメが甘すぎましたね…、残念……。

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