ミステリート 〜不可逆世界の探偵紳士〜
オススメ度:★★★★★ / ゲーム性:★★★☆☆ / キャラ:★★★★☆ / シナリオ:★★★★☆ |
ゲームとしての一番の違いは、プレイヤー自身で推理可能になったということです。
前作にも、部分部分で推理するところはあったのですが、足を使っての地道な捜査と、
ハードボイルドな熱い展開がメインで、プレイヤー側に推理を要求してくる場面はほとんどありませんでした。
今回は、暗号を解読する場面が増え、犯人を選択することも必要になってくるので、
随分と考えさせられる作りになっていました。
暗号が解けたときや、犯人が分かったときは、本当に気持ちが良いです。
反面、暗号に限っては、解けないと先に進めないので、
一度詰まってしまうとかなり苦しい状況にもなります。
とはいえ、悩むのもひっくるめて、このゲームの楽しさでもありますからね。
そこはしょうがないかなと。
前作に引き続き
前作の良かったところが、変わらず引き継がれているのも、嬉しいポイントです。
ゲーム内容が多少変わっても、テキストのカラーは変わらず。
あいかわらず「フッ」と笑わせるのが上手なテキストです。
たとえば女の人の胸元を調べたときに、
【主人公】(結構、大きいんじゃないか?)
【主人公】(無論、ポケットのことだが。)
のような反応があるのですが、このちょっとした言葉遊びが好きですね。
主人公と軽口を交わしているようで、親しみを感じます。
僕は「胸」のことだとばかり思っていたから、一本取られた気がして痛快でした。
推理とは無関係の場面ではありますが、主人公の「切れ者」っぷりを肌で感じることが出来る上手い会話です。
思わず、主人公はプレイヤーの分身であるという建前を忘れて、一目置いてしまいそうになりました。
総評 B
物語が完結していないことを除けば、かなりの良作。
ボイスが無いことや、セーブ数の不足をはじめとしたシステム周りの使いづらさ。
文句のつけようは、それなりにあるのですが、
そのどれもが、あえて文句を言うほどでもないといった感じです。
シナリオ重視の物語でもなく、変なテーマ性もないので、
純粋にゲームとして気軽に楽しむことができました。
素直に「面白かった」の一言でクリア後の気持ちを表現してしまえる作品というのも、なかなか珍しいものです。
事件ごとに一区切りになっており、そのつど種明かしがあって、伏線が消化される。
後半部分へのタメがないから、物語が途中で終わっても、続編への期待感だけが残る。
良い意味で軽いゲームだったのかなと思いました。
『サイファー』、『ミステリート』、『探偵紳士』。
3本の中で、1本でもプレイして面白いと感じたなら、残り2本もやって損はないと思います。
本当は、3本の中でどれが一番良かったか書こうと思ったのですが、うーむ……、どうにも決められませんでした。
3本ともが、それぞれに良いところを持っているんですよ。
でも、推理を楽しみたいなら本作がイチオチです。
しかし、それにしても、あのレトロすぎるマップ移動だけは、できればなんとかして欲しかったですね。
せめて、道以外の風景だけでも描いてくれていれば、よかったんですけど。
建物のかわりに四角が敷き詰められてるだけで、
ファミコンゲームを彷彿とさせるようなビジュアルだったのがなんとも……(^^;
トイレから戻ってきて画面を見たら、
自分がどこを歩いていたのか分からなくなっていた、なんてこともあったくらいです。
と、さすがにそれは言いすぎですが…。
でも、シャレにならないくらいの、おんぼろマップだったのは確かです。
ただ、それでも、ゲームの面白さに影響がないのは素晴らしいことですね。
もしかしたら、僕が気にしなさすぎなだけかもしれませんが……。