ミステリート 〜不可逆世界の探偵紳士〜

オススメ度:★★★★★ / ゲーム性:★★★☆☆ / キャラ:★★★★☆ / シナリオ:★★★★☆



前作、『不確定世界の探偵紳士Rebirth!』 の世界観を引き継ぎ、
かつ、前作とは毛色の違ったミステリー作品に仕上がったのが、
本作、『ミステリート〜不可逆世界の探偵紳士〜』です。
他にも同じメーカーさんの『十次元立方体サイファー』という
ソフトをプレイしたことがありますが、「推理を楽しむ」という一点においては、
ズバ抜けて本作は出来が良いと感じました。


前作との違い

事件に対するアプローチの仕方が大きく変わっています。
『不確定世界の探偵紳士』は起こった事に関して、何らかの依頼が来て、
それを請け負い解決する、という流れ。
実際に興信所にいるような、現実の探偵に近い探偵ですね。
『ミステリート』は、主人公の目の前で事件が起こり、
警察に代わってそれを解決する、という流れです。
コナンや金田一のような、漫画的な探偵を描いた物語になっています。

ゲームとしての一番の違いは、プレイヤー自身で推理可能になったということです。
前作にも、部分部分で推理するところはあったのですが、足を使っての地道な捜査と、
ハードボイルドな熱い展開がメインで、プレイヤー側に推理を要求してくる場面はほとんどありませんでした。

今回は、暗号を解読する場面が増え、犯人を選択することも必要になってくるので、
随分と考えさせられる作りになっていました。
暗号が解けたときや、犯人が分かったときは、本当に気持ちが良いです。
反面、暗号に限っては、解けないと先に進めないので、
一度詰まってしまうとかなり苦しい状況にもなります。
とはいえ、悩むのもひっくるめて、このゲームの楽しさでもありますからね。
そこはしょうがないかなと。


前作に引き続き

前作の良かったところが、変わらず引き継がれているのも、嬉しいポイントです。
ゲーム内容が多少変わっても、テキストのカラーは変わらず。
あいかわらず「フッ」と笑わせるのが上手なテキストです。
たとえば女の人の胸元を調べたときに、

【主人公】(結構、大きいんじゃないか?)
【主人公】(無論、ポケットのことだが。)

のような反応があるのですが、このちょっとした言葉遊びが好きですね。
主人公と軽口を交わしているようで、親しみを感じます。
僕は「胸」のことだとばかり思っていたから、一本取られた気がして痛快でした。
推理とは無関係の場面ではありますが、主人公の「切れ者」っぷりを肌で感じることが出来る上手い会話です。
思わず、主人公はプレイヤーの分身であるという建前を忘れて、一目置いてしまいそうになりました。


総評 B

物語が完結していないことを除けば、かなりの良作。
ボイスが無いことや、セーブ数の不足をはじめとしたシステム周りの使いづらさ。
文句のつけようは、それなりにあるのですが、
そのどれもが、あえて文句を言うほどでもないといった感じです。
シナリオ重視の物語でもなく、変なテーマ性もないので、
純粋にゲームとして気軽に楽しむことができました。
素直に「面白かった」の一言でクリア後の気持ちを表現してしまえる作品というのも、なかなか珍しいものです。

事件ごとに一区切りになっており、そのつど種明かしがあって、伏線が消化される。
後半部分へのタメがないから、物語が途中で終わっても、続編への期待感だけが残る。
良い意味で軽いゲームだったのかなと思いました。

『サイファー』、『ミステリート』、『探偵紳士』。
3本の中で、1本でもプレイして面白いと感じたなら、残り2本もやって損はないと思います。
本当は、3本の中でどれが一番良かったか書こうと思ったのですが、うーむ……、どうにも決められませんでした。
3本ともが、それぞれに良いところを持っているんですよ。
でも、推理を楽しみたいなら本作がイチオチです。

しかし、それにしても、あのレトロすぎるマップ移動だけは、できればなんとかして欲しかったですね。
せめて、道以外の風景だけでも描いてくれていれば、よかったんですけど。
建物のかわりに四角が敷き詰められてるだけで、
ファミコンゲームを彷彿とさせるようなビジュアルだったのがなんとも……(^^;
トイレから戻ってきて画面を見たら、
自分がどこを歩いていたのか分からなくなっていた、なんてこともあったくらいです。

と、さすがにそれは言いすぎですが…。
でも、シャレにならないくらいの、おんぼろマップだったのは確かです。
ただ、それでも、ゲームの面白さに影響がないのは素晴らしいことですね。
もしかしたら、僕が気にしなさすぎなだけかもしれませんが……。





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