天使ノ二挺拳銃

オススメ度:★★☆☆☆ / キャラ:★★★☆☆ / シナリオ:★★★☆☆



子どもが生まれなくなって人類が滅びていく。
いわゆる終末を舞台にしたシナリオです。
非常に難しいテーマの作品ですが世界設定の説明が丁寧で、
すぐにその気にさせられたのには流石だなと感じました。
ただ、その勢いが最後まで続かなかったのだけが残念です。


わかっちゃいるけど…

人が死ぬと、身体から青白い光が立ち上って暴れ狂う。
これは天使たちの間で「未練」と呼ばれているもので、人間は見ることができません。
この未練を撃ち抜くのが天使の役目です。
読み始めてしばらくは、破滅に向かう人類を見守り死した人間の
未練を撃ち抜く主人公「天使ヴィム」の日常を淡々とつづるテキストを、興味深く読んでいました。

でも、しばらくすると物足りなさを感じてくるんですね。
これがNitroplusの作品でなければそこまで思うことはなかったのかもしれませんが、
やはり「本格的な戦闘」が見たくなってきました。
一応、未練は天使に襲いかかってきますし、未練に飲み込まれると危険らしいのですが、
光の塊が相手ではイマイチ盛り上がりに欠けます。
格闘ゲームというよりはシューティングゲーム。
もっと言うなら作業とか掃除とか。
戦いにドラマ性が感じられないのが痛いですね。
もちろん本作のピントが「戦いを描くこと」でないのはわかっています。
わかってはいるのだけれど期待してしまいます。
オートマグやS&Wといった馴染みのある銃の名前が出てくると
『Phantom』を思い出して心の中では一人大盛り上がり。
拳銃が一挺から二挺に増えたことで期待感も倍増です。

そんなことを思いながらプレイしていた僕としては、
少しばかり乗り切れない部分はあったのですが、これはこれで良かったのかもしれません。
というか、嘘でもそう思わないと本作は遊べませんしね(笑)

※以下ネタバレです



終盤がぐだぐだ

終末が近づいてくるとやはりと言うべきか、雲行きが怪しくなってきました。
ヴィムたちは黒い翼の天使が飛び交う中、妹との約束を果たすために車を走らせます。
行き先は沖縄にあるという「はての島」。
道中は、誰もいなくなったハイウェイでポルシェvsミニクーパーのカーチェイスを展開したり、
体を休めるために温泉宿に立ち寄ったりします。
ここまでは特に問題はありませんでした。
ところが、目的の「はての島」に行かずUターンするところから話がこじれてきます。
なんでUターンしたんでしょう。
とりあえず「果ての島」まで行って、そこにジェイが追いついてくれば話はもっとスムーズだったろうと思います。
映像にこりすぎて失敗した邦画のようで、何がしたいのかさっぱりでした。

見せ場である、肝心のジェイとの対決もまったく盛り上がりません。
互いに銃口を向け合って硬直。
銃の照準はそのままに、2人の間で交わされる言葉のやりとり。
こんなのは、激しい攻防の合間にあるから引き立つわけで、
銃口ごしに睨み合ってばかりでは面白くもなんともありません。
序盤の、だらだらと状況に流されるだけの気だるい雰囲気は悪くなかったのですが、
終盤にきても変化があるどころか、より一層流されている感じが強くなったのは大きな失敗だったと思います。


総評 ?

ヴィムかペーターか、この際アンリでもいいから、もう少し強くすべきでした。
撃たれたら当たるしかないような身体能力では、どうにも書きようがないですよ。
撃たれる前に撃つか、敵が撃ち損じるかでしか回避できないのでは、
強敵(ジェイ)を相手にしたときに、身動きをとれなくなってしまいます。

ジェイの狂気にも、もっとまともな動機付けが欲しかったです。
百歩譲って、女に裏切られた腹いせに人間を憎むようになったのはよしとしても、
それで人類をどうこうしようとするのはどうかと思います。
アンリルートの最後みたいに、変に神憑られても納得いきません。





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