さよなら。

オススメ度:★★☆☆☆ / キャラ:★★★★☆ / シナリオ:★★☆☆☆



作品の売りをひたすら列挙し続けるOPのムービーには度肝を抜かれました。
これは、久しぶりに大物が現れよったな、と(笑)

「あらゆる要素にアンチテーゼを唱える」
「そこにあるのは"ゼロ"だ」

なんて、やる前から言われてもなぁ。
この変な売り文句が無ければ評価は1個上がっていました。
まあ、それでも「D」ですが……。


設定が裏目に…

大過と呼ばれる災厄に見舞われた世界が、本作の物語の舞台です。
新たな生命が生まれることはなくなり、年老いた者は皆死に絶えて。
そんな中、20歳の誕生日を迎えた者は、必ず何らかの形で死ぬ、という奇妙な現象まで起きはじめます。
主人公は、世界が災厄に見舞われた年の3月31日に生まれた、
人類が滅亡する最後の最後まで生き残る人間です。

プレイヤーがゲームとしてプレイするのは、彼に残された最後の一年になります。
春、夏、秋、冬。
季節ごとにヒロインと出逢い。結ばれ。死に別れ……。
一年後の3月31日にゲームは終了します。

上記した設定は、ゲーム開始後、間もなく明かされます。
この手の、最初から大筋が分かっているシナリオは、気の利いたオチよりも、
途中経過をどれだけ上手く書けるかが重要です。
移り変わってゆく季節の中で、主人公が何を見て、何を想い、何を考えるのか。
ヒロインとの出逢いが主人公を成長させることもあるでしょう。
完全な文章勝負です。

ところが、いざ読んでみると、これが全然。
説明不足で分からないことだらけです。
ヒロインと過ごす日々もパッとしません。
とりあえず季節感を出しつつ、美少女ゲーム的なポイントを押さえているだけです。
季節の変わり目に、20歳を迎えたヒロインが死ぬのも、
ショックを受けるのは最初の春だけで、以降は、それほどでもありません。

ただ、20歳になったら死ぬという設定が、少し強引ではありますが、
非処女(大人)になったら死ぬという風にも解釈出来るのは面白いと思いました。


総評 E

時折挿入される、正体不明の男が、
主人公の頭の中に直接語りかけてくるシーンには興味を惹かれたものの、
終わってってみれば「なんじゃそりゃ」と言いたくなるような、しょうもないオチでがっかりしました。
伏線が皆無で唐突な展開なのが余計に悪いです。
こうなると、読み手としては「せめて最後くらいは『あっ』と言わせてもらいたい」と
淡い希望を抱いてしまうのですが、これまた空振りな展開でどうにも……。

曖昧な表現と、おそらく、最初から答えなど用意されていなかったシナリオ。
ただ、作者の気の向くままに迷走しただけ、といった印象の作品です。

もちろん、ゲームを通して伝えたい事は分かります。
でも、そんなのはゲームをするまでもなく、
設定の組み合わせを眺めれば分かることで、正直どうでも良いのです。

オープニングのムービーに、ある意味、嘘はありませんでした。
本作は確かに、あらゆる要素にアンチテーゼを唱えることが出来るゲームです。
突っ込みどころは無数にありました。
もし、ウチのサイトがABCではなく採点方式でやっていたとしたら、
きっと皮肉を込めて「ゼロ」点を付けていたことだと思います。





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