SHUFFLE! ON THE STAGE

オススメ度:★★★☆☆ / キャラ:★★★★☆ / シナリオ:★★★☆☆



神王の娘と魔王の娘に求婚されて、おまけに主人公にベタ惚れな幼馴染の女の子と
同居しているという超絶ハーレムな学園ADV。
過去、これ以上に分かりやすいゲームは、なかったように思います。


萌えゲーのお手本

本作ほどストイックでプラトニックな萌えゲーは、そうそうありません。
「抜きゲー」が、エロだけに特化しているゲームだとすれば、本作は萌えだけに特化した、
正真正銘の「萌えゲー」だと言えます。

たとえば、シナリオがつまらなくてエロしか見所がないせいで「抜きゲー」と呼ばれるのと、
最初から「抜き」をコンセプトに作った結果「抜きゲー」と呼ばれるのとでは、まったく意味が違うと思います。
「抜き」を「萌え」に置き換えた場合、本作は明らかに後者です。
はっきり言って、本作にシナリオは皆無です。
べつに必要だとも思いません。

大切なのは、いかに萌えるシチュエーションを網羅できるか。
願望が先で、それに合わせてイベントを作って繋げている印象です。
下手に物語を作ろうとしていないから、無駄な部分がなくて、
甘〜いシチュエーションに思う存分ニヤニヤできます。

シナリオらしい部分は、どのキャラクターの話でもだいたい同じで、
キャラクターの生い立ちに関するものが主です。
最初に少しだけ後の展開を臭わすような描写があって、
ヒロインと恋仲になってしばらくすると問題が浮き彫りになってくる構成。
主人公にとっても、プレイヤーにとっても、「あぁ、やっぱりそうだったかぁ…。
そんな過去がなぁ」と「確認」して「受け入れる」ことが至上の目的で、
感動させようとか泣かせようとか、そういったスケベ根性は一切ありません。
サラサラと流して読んでも十分に理解できる内容だから、
読み手は安心して、「笑うこと」と「萌えること」に全神経を集中できる仕組みになっています。

一見すると、ただの「絵だけゲー」のようですが、
「萌え」を求める者にとってみれば、これほど理にかなった作品構成はありません。
無駄な足掻きがゼロで、非常に潔い、丸裸の作品です。
きっと、「それ散る」との比較で叩かれることも、納得済みで出したのでしょうね。
何だかそんな気がします。


主人公がイケメン

文章中で明確に、主人公が男前であると書いているので、非常に読みやすかったです。
のっけからモテモテでも違和感はゼロでした。
女よりも、むしろ男にもモテるタイプの性格だから、プレイヤーの分身としては言うことなし。
極上の主人公でした。

直前にやっていた、ゲームの主人公がヘタレだったせいか、
本作の主人公がとんでもなく格好良く思えて、読んでいて気持ち良かったです。
いや、本当にスッキリしました。
やっぱり主人公はこうでなくちゃいけません。

そして、極めつけは、神界は一夫多妻制であるという設定。
これが上手い抜け道(笑)になっており、修羅場の回避に成功しています。
ハーレムを満喫するために、邪魔な要素を徹底的に排除しているのが本作の鍵です。
極力、プレイヤーに不快な思いをさせない筋書きで、その点に関してはかなり徹底していました。


カレハと麻弓

せっかくPS2版を遊んだので、追加キャラクターについて書いておきます。
結論から言うと、「エロいらね」な人はPS2版が断然オトクです。
後から追加されているので、適当かと思ったら全然違いました。
トンデモな展開が多い(というか、それしかない)本作の中では、
比較的まともな恋愛ストーリーで、ある意味、貴重な存在です。

カレハ先輩のシナリオは、嬉し恥ずかしな、こそばゆいイベントが多めで和みました。
他人の恋愛には積極的なのに、
自分のことになると気後れしてしまう先輩が素晴らしすぎます
(個人的には、先輩の妹のほうがお気に入りだけど…)

麻弓のシナリオは、元々、目当てのキャラクターだったこともあり、最後まで楽しく読めました。
主人公の友人、緑葉の見せ場もあって、なかなかに充実したルートです。
PC版をやっていたら攻略できなくて大いに不満が残ったことだろうと思います。
萌えゲーで自分の気に入ったキャラクターが攻略できないなんて最悪ですから。

ゲームと関係ないけど、麻弓の「〜なのですよ」という話し方を聞いて、
BasiLの「21-Two One-」に出てきた「にゃんだばー」を思い出しました。懐かしい…。


総評 B

メーカーさんとしては、ほぼ100%、狙い通りに作れているのだと思います。
「萌え一本で真剣勝負」な作品の方向性も、狙ってやるぶんには大アリです。

ただ、どうせなら、もう少しボリュームが欲しかったです。
長すぎて、飽きて、嫌になって、となるよりは遥かにマシですが、本作はいくらなんでも短すぎました。
一周目は良いとしても、二周目からは序盤、中盤がほぼスキップな上、
個別ルートに入った後も2時間弱しかありません。
シナリオは最初と最後だけで、間はイベントの連続で繋いでいる、
ハンバーガーみたいな構成の作品だから、その気になれば際限なくイベントは挟み込めたはずです。
もっと早い段階でシナリオを分岐させて、個別のイベント数を増やしていれば、
「萌えゲー」としてのコンセプトが、より際立ったと思います。

作中で、主人公の境遇を評して「神にも悪魔にも凡人にもなれる男」とありましたが、
本作も、プレイする人によって「良作にも駄作にも凡作にもなれる作品」でした。
僕の場合は、もう今さらのプレイだし、前評判で重々承知していたのが良かったようです。
シナリオに期待してプレイしていたら、愚痴のオンパレードになっていたであろうことは言うまでもありません。





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