峰深き瀬にたゆたう唄

オススメ度:★★★★☆ / ゲーム性:★★★★☆ / キャラ:★★★☆☆ / シナリオ:★★★☆☆



『峰深き瀬にたゆたう唄』はダンジョン探索型のRPGゲームです。
主人公は、仲間と協力しながら歪みの主根(ひずみのおもね)と呼ばれる迷宮を探索して、
その最深部を目指します。


戦闘について簡単な説明

仕掛けを動かしたり、ボスを倒したり、依頼されたお宝を探したりしながら、
歪みの主根の下層を目指すのがゲームの目的です。
MAPは、7×9マスの部屋が7×7ブロックのフロアに配置されており、それが階層1つ分です。
エンカウントは部屋単位。
戦闘はターン制で、部屋の中を移動しながら特技や魔法を駆使して戦います。
プチSLGですね。
敵を倒すと、そのまま探索に戻ります。
階段を探して下層に降りて、敵が出たら倒して……。
基本的には、この繰り返しです。


RPGパート

バランスがとんでもなく良いです。
力の強い弱いだけじゃなくて、その他の要素(空腹、疲労、状態異常、制限時間)が絡むことで、
常に一定の難易度を保つことに成功しています。

空腹状態になると度合いに応じて回避に−5〜−25の補正、
同様に疲労がたまると命中に−5〜−25の補正がかかります。
部屋を移動するごとに腹が減り、戦闘で1ターン経過するごとに疲れがたまる仕組みです。
命中が下がり殲滅が遅れると、
余計に疲労が蓄積されてさらに命中が低くなってしまうという悪循環が絶妙でした。
状態異常が自然治癒しないのも面白い設定です。

また、制限時間は空腹度と合わせて、
ダンジョン探索に適度な焦りと緊張感を与える要因となっています。
制限時間内にダンジョンから出ないと強制帰還させられ、
装備品以外は没収のペナルティがありますので、効率よく探索することが求められるのです。

この手のゲームは、繰り返しの単純作業になりがちで、全滅したときなど、
ふとした拍子に飽きてしまうことも多いのですが、本作がそうならなかったのは、
上記したように現在進行形で気にかけるべき要素が多かったためだと思います。
また、装備や特技に熟練度があるので、「この武器を集中的に鍛える」といった、
物語とは無関係な小さな目標を常にいくつか持ってプレイできるのも大きかったです。

ゲームが進んで仲間が増えるとさらに面白くなります。
仲間に関しても、やはりバランスが良いです。
説明書の焼き直しのようになってしまいますが、

フィーノ(主人公)→回避と命中が高い。アイテムが盗める。
セフィリア(神官騎士)→バランス型で槍を使った中距離攻撃と回復魔法が使える。
ミュリ(主人公の義妹)→絵札(魔法)を使って遠距離&範囲攻撃。
クロエ(ドワーフ)→力と防御が高く、囲まれても特技で周囲に一斉に攻撃できる。
フォーチェラ(エルフ)→弓を使った遠距離攻撃。特技と魔法で遠距離の範囲攻撃が可能。

と、使い分け易いキャラクター陣です。
ポイントは、遠距離キャラは近接攻撃が出来ないところ。
大が小を兼ねないところに、本作のバランスの良さがあります。
HPが共有で、仲間が増えると最大HPが増えるところも、仲間の有難みが感じられて良いです。


ADVパート

エロゲーで"少年"を主人公にするのは鬼門だと思います。
だってHしないといけないから。
ロリは良いけど、ガキがHするのは気色悪いというエロゲーマーの性かもしれませんが、
デリカシーがあまりに無さ過ぎるところにちょっと引いてしまいました。
ざっくり言ってしまうと、抜ける抜けない以前の問題で、
"DQN"な主人公がイタ過ぎて"もう見てらんない"ような状態でした。

「はっ、あっ、うわぁぁ……きもち、いいっ……」
「わあぁっ! あっ」

念のため断わっておきますが、↑これ、主人公の喘ぎ声です。
何というか、ショタっ気が満載で、女子高生風に言うと「マジ無理」な感じのHシーンが結構ありました。

「……はっ、あっ……姉ちゃん……。」

とか、完全にその手のゲームの流れです。
そうかと思えば、

「よぉーしっ、もう一回、こいつで谷間をこしこしとぉおおおおっー。」

のような雄々し過ぎるシーンもあったりします。
これには、さすがに笑いました。
というか全編通して、笑ったのはこれ一回だけかもしれません。
ちなみにこれは、寝ているマシェリ姉ちゃんをオカズにしてオナニーするシーンです。
男のオナニーシーンを描くなんて斬新ですね。
斬新過ぎて、僕には何が良いのかさっぱり分かりませんでしたよ……。

挙げていけば本当にキリがないので、これで最後にしますが、
フォーチェラとHした直後の2人の会話。

「やはり、心地いいものだな……。」
「俺も、すげーよかった……。」

この温度差は何なんでしょうか…。
静かに快感の余韻に浸るフォーチェラとの対比もあって、
「あーすっきりした」と言わんばかりの主人公が、見苦しいことこの上なかったです。
高級料亭でガツガツ食い散らかして「うめー!」と叫ぶ行儀悪さに似て、
見ているだけでストレスが溜まりました。
主人公がガキで粗野で、その性格を記号的にテキストに反映したらこうなった
という理屈は分かるのですが、やはりどこかしっくり来ません。
SEXをしているはずなのに、
女性の体を使って自慰をしているだけに見えてしまうという情けなさ、不甲斐なさ…。
あぁ、やっぱり見てらんない……。

個人的には、兄のラティーフを主人公にしたほうが良かった気がします。
魔物と人間族の垣根を取っ払うという主題にしても、主人公であるラティーフが、
魔物に偏見を持たない弟のフィーノに影響されて、
徐々に考え方を変えていく、とすればブレもありません。


総評 B

主人公はいまいちだけど、ゲーム自体は面白いです。
とはいえ、二周目プレイの気力はあまりありません……。
理由としては、

・レベルが999まで上がるためにやり込める要素がありそうに思えますが、
難易度を最大に上げても、敵の能力が追いついてこないのでモチベーションの維持が難しい。
・武器や防具の種類は豊富ですが、ある程度のレベルの武具を揃えてしまうと、
以降は違いが実感できるほどに劇的な差がないため、強い武具が欲しいという欲求があまり湧いてこない。
・そして何より時間がない。

まあ、最後のが結局、一番の答えだったりします。悲しいけど。
一周目で既に50〜60時間かかっているので、
それ以上時間を費やすことが無駄だと心にストップがかかってしまいました。
無意識に「二周目をやるとしたらだいたい○○時間はかかるなぁ」と計算してしまうわけです。
二周目をプレイしなくても十分に元は取れているだろうという安心感もありますしね。
嫁さんにミュリを選んでしまったことを後悔…。
適当に貝殻渡すんじゃなかった……orz

エウシュリーの作品って『幻燐の姫将軍2』のときもそうだったけど、
時間の関係で遊び尽くせなくて、どこか消化不良になっちゃうんだなぁ…。

それはそうと、エウシュリーちゃんのグラフィックが毎回、洗練されてどんどん可愛らしくなってきてますね。
何かだんだん好きになってきたかも。





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