Tears to Tiara
オススメ度:★★★★☆ / ゲーム性:★★★★☆ / キャラ:★★★☆☆ / シナリオ:★★★☆☆ |
物語本筋に関しては、奇をてらうことのない真っ直ぐさが良かったです。
後半の僕は「うん、うん、それでいいんだ、それで」と、うなずいてばかりの状態。
なにもかもが予想通りで、なんの面白みもないはずなのに、自然と納得してしまいました。
アルサルとアロウンが肩を並べ、共に戦い、勝利する。
ただそれだけの話だけれど、僕にはそれ以外の結末を考えることができませんでした。
終始王道をいくストーリー展開に、知らず毒されてしまったようです。
最初に、後半明らかにしてもいいような重要な設定をドンッと提示してしまったのも、良かったです。
アルサルの先祖である妖精王プィルは、かつてアロウンと共に戦い、
二人は互いを友と呼び合う仲であった、という設定を知っているだけで、
これから交わされる二人の会話に何倍も興味が沸いてくるし、
最終的には二人もそういう良い関係になるのだろうかという期待感が出てきました。
SLGパート
ゲームシステムは、装備があって、技と魔法があって、職業があって、と、本格的なSLG。
僕は難易度最大でしかプレイしていないので、他がどうなのか分かりませんが、正直かなりハマりました。
基本的に、ゲームバランスが非常に良いですね。
この手のゲームにありがちな、主人公が最強すぎてワンマンで最後までいける、
みたいなことは一切なかったです。
各々が、自分の仕事をきっちりこなすことで攻略できるという、渋めのさじ加減が絶妙で、
後半になり、装備をいじることで多少無理もきくようになってくると、それはそれで気持ちいい作りになっていました。
CPUの頭が悪く、魔法ばかり使って、技を使ってくれなかったりするのは不満でしたが、
全体としてはかなり満足の出来前です。
最近では、サモンナイトやディスガイアのように、家庭用ゲーム機のソフトでも、
可愛らしいキャラクターを起用したシュミレーションRPGは出ているのですが、
エロゲーマーにとっては、やはり本作が一番とっつき易いですね。
ただ、そういったソフトとSLGのみで真っ向勝負できるほどの完成度ではないのが、今後の課題ではないでしょうか。
総評 B
ゲームとして十分遊べるレベルのSLGは良かったと思います。
ただそれだけに、前作の良かった点をまったく継承できていないのが残念です。
アイヌ風に品良くまとめていた前作に対し、本作はいまひとつ統一感に欠けるデザインと世界観。
キャラクターを、より良く知ることができたはずのADVパートは、とってつけたようなHシーンに。
印象の薄い女性陣。
存在感ある敵キャラの不在。
さぁこれから、というところで終わりをむかえる物語。
友情をメインに描いているフシがあるので、物語の終わり方については納得できないこともないのですが、
他の項目については明らかにレベルダウンではないかと思います。
「うたわれるもの」はADVありき。
「Tears to Tiara」はSLGありき。
こんなふうに割り切って考えられれば、良いのかもしれませんが、
やはりプレイヤーとしては「"うたわれるもの"のパワーアップ版」を望んでいるわけで…。
SLGをがんばった分ADVが疎かになるのでは、なかなか素直に納得はできないものです。
ぶっちゃけ…
A評価で良いような気もします。
ゲーム系の作品の基準が、よく分かっていないから抑え目につけましたが、
実を言うと、上に書いてある不満点は僕にとって不満点でなかったりします。
確かに気になったから書きましたが、それでゲームがつまらん、ということにはならなかったです。
ようは、雰囲気がどうとか、シナリオに深みがないとか、そんなきどった内容のゲームじゃないんですよ。
エロが邪魔なら飛ばせばいい。
文句言う前に楽しめ。
と、そういうゲームなんです。
話の筋は大味でわかりやすく、あとは、乗るか乗らないかの話だけ。
SLGが楽しめればADVも勝手に面白くなってくる。
前作とは逆パターンですね。
だから、「SLGつまらん。最悪」みたいな感想は、とてもよくわかります。
僕もSLGにハマれていなければ、直球勝負の友情物語に感動できなかったと思いますから。